減塩商品は未だに選択肢が少ないカテゴリーがほとんどだ!

健康志向の食生活には「足し算」と「引き算」の2つのアプローチがあります。
最近よく目にするようになったタンパク質を豊富に含む食品は足し算の代表と言えます。
一方で、引き算の代表は塩分と糖質の制限です。
特に日本食に多い塩分の過剰摂取は問題視されており、これに慣れると薄味が物足りなくなります。
塩分の取り組みをより意識する高齢者の割合が高くなっていくことを踏まえると
小売業界では消費者の健康志向に応えるために、減塩商品の開発と普及にに取り組んでいくことが重要になります。
そこで今回は、この問題について食品スーパーの品揃えや購買者の実態を考慮しながら深く掘り下げてみます。

減塩商品の品揃えと顧客の選択肢の現状

企業や店舗によって違いはあるものの、一般的なスーパーでは比較的どのカテゴリーでも減塩商品が品揃えされています。
しかし、大半のカテゴリーでは1品、もしくは数品しか減塩商品をおいておらず、
減塩商品を必要とする顧客にとって選択肢が限られているというのが現状です。

数値で見るとどうでしょうか。
実際に、主なカテゴリーで減塩商品の売上構成比と品目数構成比を確認してみます。
図表①を見ると、減塩商品の売上、品目数構成比ともに数パーセントしかないようなカテゴリーが目立ちます。

しかし、その中でも際立って高い割合を示すカテゴリーがいくつかあります。

図表①各カテゴリーにおける減塩商品の割合

基礎調味料と健康志向食品は減塩商品が強い?

割合の高いカテゴリーの1つは、様々な食材に日々使っている基礎調味料です。
使う頻度が高いベーシックな食材であることが理由に考えられます。

醤油の減塩商品を見ると、売上構成比が20.4%、品目数の構成比が8.6%です。
味噌も同様に売上構成比13.5%、品目数5.8%と両カテゴリーとも売上構成比で2桁の値になっています。
味噌に関連して、即席みそ汁やだし類も売上構成比が15%前後に達しています。

ここまでは頻度の高いカテゴリーでしたが、加えて健康志向傾向の強いカテゴリーは更に高い値を示します。

典型的な例としては野菜飲料です。
減塩商品が売上構成に占める割合は、主に缶で販売されるドライタイプの飲料で40%を超えています。
また、健康に良いとされることで注目を集めているナッツ類も、同様に40%を超える値を示しています。

図表② 減塩商品の多いカテゴリーの品目数構成比と売上構成比

減塩商品の需要と供給

ここまで紹介したのは特筆して減塩商品の割合が高いカテゴリーでした。
しかし、これらを除く他のカテゴリーでは、売上と品目数構成比で10%に迫るものがいくつかあるのみで、
3%にも届かないカテゴリーがほとんどです。

つまり、大半のカテゴリーでは、減塩商品を求める顧客の満足度を図る以前の段階に留まっている実態があると言えそうです。

では、減塩商品の割合が高いカテゴリーでは、その分顧客満足度も高いのでしょうか?
それを推測するデータとして、次回の記事では1人当たりの購買品目数を見ていきます。

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。

出典:食品商業2023年12月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第32回」

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業1月号に掲載されています。
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