3分で読める!「顧客ランク分析」について

スーパーマーケットの来店顧客は、毎週の購入金額が高い常連客から、週末だけ訪れる顧客など、その種類は様々です。
そうした顧客層それぞれに効果的な販促活動を展開し、多様なニーズに対応できる品揃えを提供することは、現代の競争の激しい小売業界において非常に重要です。
本記事では、スーパーマーケットに来店する顧客層を理解し、効果的な販促や品揃えを実現するために必要な顧客ランク分析についてご紹介します。

スーパーマーケットの顧客層の多様性

スーパーマーケットは私たちの生活に密接に関わっています。しかし近年、ホームセンターやドラッグストア、コンビニエンスストア、オンラインショッピングなど、消費者の食品購買の選択肢は増え、スーパーでの購入割合が減少する傾向にあります。
このような環境で競争力を保つには、消費者の購買行動をデータに基づいて分析し、ニーズに応じた戦略を立てることが重要です。

顧客ランクから自社の顧客特性を理解する

スーパーマーケットにおいては、自社の顧客特性を理解し効果的な対応を行うために、顧客ランク分析の活用が極めて重要です。
この分析では、顧客層ごとの購買行動の特徴を詳細に把握することができます。

具体的には、顧客を購入金額、来店回数などの基準でランク分けし、これらのグループごとに購買傾向を分析します。
このようなグルーピングを全店舗やエリア単位で分析することにより、自社のより深い顧客理解を実現し、ターゲットに合わせた販売促進や商品配置の提案が可能になります。

顧客ランク分析の具体的手法

顧客のランク付けには以下のような分析手法があります。

ABC分析

ABC分析は、アイテムを重要度に応じて分類し、優先順位をつけるための分析手法です。
アイテムは売上などの指標によってA、B、Cの3つのクラスに分類され、Aクラスが最も重要であり、Bクラスが中程度、Cクラスが最も低いとされています。
ABC分析は、リソースを最適に活用するために用いられ、Aクラスには重点を置き、Bクラスは中程度、Cクラスは最小限のリソースを使用することが推奨されます。

RFM分析

RFM分析は小売業で顧客の購買行動を理解するために使用される手法です。
この分析はRecency(最終購入からの経過時間)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3つの指標に基づいて顧客をセグメント化します。
RFM分析を通じて、企業は最も価値の高い顧客を特定し、パーソナライズされたマーケティング戦略を展開することができ、顧客ロイヤルティの向上と売上の増加に繋がります。

デシル分析

デシル分析は、顧客の購入金額データを10等分に区切り、各グループの成績を比較して分析する手法です。
この方法により、売上や利益に大きく貢献している顧客や商品を特定することができます。
結果としてマーケティングの取り組みや在庫管理を最適化し、適切なリソースの配分や顧客サービスの改善に役立ちます。

顧客ランク分析の具体的手法

実際の活用例として、2023年2月と3月の2期間で、顧客の購入金額に基づくランク推移を分析しました。
この分析を行うことで、来店顧客のボリュームゾーンの把握や、新規・離反傾向の把握を簡単に行うことができ、今後取るべき施策の方向性を検討しやすくなります。

以下の表は2023年2月の顧客の購入金額をSからEまでのランクに分類し、続く3月の購入金額も同様にランク分けした表になります。
この表から、2月・3月でSランクまたはAランクに位置する顧客を「優良顧客」と定義しました。
一方で、2月から3月にかけて金額ランクが2段階下がった顧客を「2ランクダウン顧客」と定義しました。

先ほど定義した「優良顧客」と「2ランクダウン顧客」について、さらに深堀って分析した結果が以下の表になります。

「優良顧客」に比べて「2ランクダウン顧客」は1回当たりの購入金額、購入点数、そして一品単価が顕著に低いことがわかりました。
また、生鮮3部門の表を見ると、特に水産部門では構成比が優良顧客に比べ6%低く、金額差は生鮮3部門中で最も大きいことが読み取れます。
これは、「2ランクダウン顧客」が水産部門に対して不満を持ち、その結果として離反傾向にある可能性を示唆しています。

この分析結果を基に、水産部門で特に購入が減少したカテゴリや商品、また支持を失った年代をさらに分析する必要があります。
こうして得られた情報は、ランクダウンした顧客を再び引き付け、顧客ランクを上げるための売場戦略に活用できるでしょう。

顧客ランク分析が出来る「Customer Journal」

顧客ランク分析は、スーパーマーケットのような小売業において、顧客のニーズに合わせた戦略を立てる上で極めて重要な分析です。
これにより、効果的な販売促進や商品配置が可能となり、競争力を維持することができます。
「Customer Journal」は、このような顧客分析に特化したツールであり、顧客の購買行動や嗜好を理解し、売上の向上に貢献します。

執筆者紹介
カスタマーサクセス室 栄利康太
山形大学人文社会科学部卒 2023年に新卒入社。
大学時代は会計学を専攻。
現在はカスタマーサクセス室でデータ分析やユーザー支援を担当。

栄利から一言
データ分析を活用して、小売業の発展に貢献するために頑張ります!