3分で読める! 「価格弾力性」について

 

商品の価格を少し変えただけで、売上が予想以上に落ち込んだり、逆に反応が薄かったりして悩んだ経験はないでしょうか。本記事では、適切な価格設定の助けとなる価格弾力性について解説します。価格弾力性を活用することで、価格変動が需要にどの程度影響を与えるかを事前に予測でき、値上げ・値下げの判断を的確に行えます。また、具体的な計算方法や事例も紹介いたします。価格戦略に悩む方は、ぜひ最後までお読みください。

価格弾力性とは

価格弾力性とは、商品やサービスの価格が変動した際に、その需要量がどれほど変化するかを示す指標です。具体的には、「価格が1%変化したときに需要量が何%変化するのか」を測定します。例えば、価格が少し上がるだけで需要が大きく減少する商品は「価格弾力性が高い」と言われます。一方で、価格が上がっても需要があまり変わらない商品は「価格弾力性が低い」とされます。この違いを理解することで、利益を拡大するための効果的な価格設定が可能になります。

価格弾力性の計算式

価格弾力性は以下の式で求めることができます。

価格弾力性=需要の変化率(%)÷ 価格の変化率(%)

計算例

①価格を10%下げたところ、需要量が20%増加した場合

価格弾力性=20÷10=2

この結果、「価格弾力性が2」であるとわかります。つまり、価格を1%下げると需要が2%増えることを意味します。

価格を10%引き上げたところ、需要量が5%減少した場合

価格弾力性=5÷10=0.5

この場合、価格弾力性は「0.5」であり、需要の減少幅が小さいため、価格に対して需要が比較的安定していることがわかります。

価格弾力性の区分

高弾力(絶対値 > 1): 価格変動に対して需要が敏感に反応する

低弾力(絶対値 < 1): 価格変動に対して需要の変化が小さい

非弾力(0): 価格が変わっても需要が全く変わらない

価格弾力性のスーパーマーケットにおける具体例

スーパーマーケットでは、多種多様な商品が取り扱われており、価格弾力性の特徴は商品によって異なります。具体例を挙げると以下のようになります。

必需品(低弾力性)
米や牛乳など、日常的に必要な商品は、価格が変わっても需要が大きく変化しません。例えば、米の価格が10%上がったとしても、多くの人は購入を続けます。このような商品は価格弾力性が低いとされます。

嗜好品(高弾力性)
チョコレートやアルコールなどの嗜好品は、価格が上がると需要が減少しやすいです。例えば、ある銘柄のビールが10%値上げされた場合、他の銘柄に乗り換える消費者が増え、需要が大幅に減る可能性があります。これらの商品は価格弾力性が高いとされます。

季節商品
クリスマスケーキやバレンタインのチョコレートなど、季節限定商品はその時期の需要が特定の価格に敏感に反応することがあります。適切な価格設定を行うことで売上を大幅に伸ばすことが可能です。例えば、クリスマスケーキが1,000円値上げされた場合でも、イベント需要のため販売量が大きく落ちることは少なく、特に有名ブランドや付加価値が高いケーキは価格弾力性がさらに低くなります。

また、同じ商品でも場所やシーンによって価格弾力性が変わる可能性があります。例えばコンビニではペットボトルが150円で売れたり、山頂の自販機では200円で売れたりします。同じペットボトル飲料であっても、利便性や即効性を求めるシーンでは価格弾力性が変わることがあります。

価格弾力性の活用場面

価格弾力性の知識を活用することで、企業は戦略的な意思決定を行いやすくなります。以下はその具体的な活用場面です。

1.価格戦略の最適化
価格弾力性を理解することで、値上げや値下げによる売上や利益への影響を予測できます。例えば、低弾力性の商品は値上げすることで利益を向上させる可能性が高い一方、高弾力性の商品は値下げによって需要を伸ばす戦略が有効です。

2.プロモーション効果の測定
価格弾力性を活用すれば、割引キャンペーンの効果を定量的に評価できます。例えば、割引による需要増加率を把握することで、次回以降のプロモーション計画を最適化できます。

3.新商品の価格設定
新商品の価格を設定する際、類似商品の価格弾力性を参考にすることで、市場の反応を予測しやすくなります。例えば、高弾力性の商品カテゴリでは価格を抑えて市場シェアを獲得し、低弾力性のカテゴリでは価格を高めに設定して利益を優先するなどの戦略が考えられます。

4.在庫管理と廃棄リスクの軽減
価格弾力性を考慮して需要を予測すれば、在庫の過不足を減らすことができます。特に、季節商品や賞味期限の短い商品の場合、適切な価格調整によって売れ残りや廃棄を防ぐことが可能です。

価格弾力性の落とし穴

チェリーピッカーの存在
価格弾力性に基づいて値下げをした際に、数字上は効果が出ていたとしても注意が必要です。値下げした商品の多くをチェリーピッカーが買っていた場合、他の商品はあまり買われず、バスケット単価としては上がっていない可能性があります。また、チェリーピッカーはその後、定価では購入しないため、長期的な視点で見た際にプラスになっていない可能性を考慮する必要があります。

値下げの効果が逓減していく可能性
価格を変更する際には価格弾力性を比較して見る必要があります。下記の例をみると、10%値下げすると価格弾力性が1.5、15%下げると2、20%下げると2となった場合、15%下げた場合と20%下げた場合では価格弾力性は変わらず値下げの効果は逓減しているということが言えます。このように、価格変更の判断は価格弾力性を単体で見ることなく、比較して考えることが必要です。

値引き 需要 価格弾力性 価格弾力性増加
10% 15% 1.5
15% 30% 2 0.5
20% 40% 2 0

価格弾力性と顧客体験の関係

価格弾力性を考える際、単に価格と需要の関係を見るだけでは不十分です。顧客体験(CX)を向上させる施策と組み合わせることで、顧客が価格の変化に感じる価値を高めることができます。例えば、値上げを行う場合でも、商品品質やサービスレベルを向上させることで、価格弾力性を抑えることが可能です。

まとめ

価格弾力性は、価格戦略や需要予測において非常に重要な指標です。スーパーマーケットのような多品種を扱う業態では、商品ごとの価格弾力性を理解し、それに基づいて価格設定を行うことが売上や利益増加につながります。
価格弾力性を深く理解し、活用することで、より効果的なビジネス戦略を構築することができるでしょう。

 

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経営推進部 マーケティング室 小林祐太
小林祐太
2021年入社。経営推進部マーケティング室所属。
コーポレートサイトのコンテンツ作成を担当。

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