3分で読める! 「PI値」について

小売業において、売れ筋商品をいかに効率的に管理し、顧客に最適な商品を提供するかということは重要です。そこで注目されるのが「PI値(Purchase Index)」という指標です。PI値は、単なる販売数では捉えきれない商品ごとの人気度や販売効率を示し、商品パフォーマンスを正確に把握できます。本記事では、PI値の基礎から計算方法、その活用メリット、さらにPI値を使った具体的な戦略アイデアまでを解説します。

PI値とは?

PI値は、小売業界で特定の商品の販売状況を評価するための指標です。一般的には、一定期間におけるレジ通過客数1000人当たりの購買指数を指します。PI値は、商品がどの程度の割合で購入されているかを示し、商品の人気度や需要の強さを測るための重要な指標です。PI値が高ければ高いほど、その商品には来店客のニーズがあるということを示します。たとえば、日常的に使われる食品や飲料は購買が多くなるため一般的にPI値が高く、特売品や季節商品も集中的に購買されることで一時的にPI値が上昇することがあります。小売業の戦略を立てる際には、商品ごとのPI値を理解することで、効率的な商品配置や販売促進施策の策定が可能となります。

PI値の計算方法

PI値には販売数量ベースとする方法と販売金額をベースとする2通りの見方がありますが、どちらも計算方法は同様で、非常にシンプルです。まず、一定期間における特定の商品の販売数量(金額)を集計します。その後、この販売数量(金額)を同期間の来店客数で割ります。具体的な数式は以下の通りです

 

PI値=販売数量(金額)÷来店客数×1000

 

たとえば、ある店舗で特定の商品が1週間で100個購入され、同期間中の来店客数が2000人だった場合、その商品のPI値は50となります。これは、1000人来店した際には商品が50個購入されることを表します。PI値は他の商品と比較することで、どの商品がより多くの来店客に選ばれているかを客観的に評価するために使用されます。

PI値を活用するメリット

PI値を活用することには多くのメリットがあります。まず、客数の影響を排除できる点が挙げられます。通常の販売数量(金額)は、来店客数の多さや少なさに左右されるため、客数の変動がそのまま反映されてしまいます。しかし、PI値は来店客数に対する販売数量(金額)の割合を表しているため、来店客数が多い日や少ない日、または大型店、小型店など規模にバラつきがある場合でも、その商品がどれだけ効率的に売れているかを把握できます。これにより、店舗運営の際に客数の変動に関わらず、商品ごとのパフォーマンスを公平に評価できるのです。

さらに、PI値を用いることで商品ごとの人気度や購買傾向を定量的に分析でき、在庫管理や商品補充の計画を最適化できます。例えば、PI値が高い商品は売れ筋商品として認識され、適切な在庫量を維持することで販売機会を逃すリスクを減らせます。逆にPI値が低い商品は販売促進や配置転換の必要性があると判断でき、適切な対策を講じることで売上の底上げが可能です。

PI値を活用したアイデア

PI値を活用した実践的なアイデアとして、売場面積や立地条件の異なる他店舗との比較があります。例えば、郊外の大型店と街中の小型店では当然来店客数や商品のニーズも変わってきます。そのような2店舗間で単純に一商品の買上金額を比較しても店舗の特性に影響され、正確な比較はできません。そこでPI値を活用することで公平な商品力の比較ができるようになります。以下の計算式で2店舗間の数値を比較してみました。一見すると、大量に購入されているように見えるA店ですが、PI値で見てみると顧客1000人当たりの購買数はB店の方が多いということが分かります。

 

A店 800(販売数量)÷5000(来店客数)×1000=160

 

B店 400(販売数量)÷2000人(来店客数)×1000=200

 

このように、規模や条件の違う店舗を比較する際には、PI値の様に条件を揃えて分析するというのも一つの手段であると言えます。

PI値をさらに深堀してみる

商品の実績を確認する上で有用なPI値ですが、ID-POSデータを活用することでさらに深堀することができます。期間を複数日で算出したPI値では、誰が何を買ったか集計できないため購入の内訳が見えませんがID-POS分析では誰が何回買ったかということが分かります。例えば、PI値の分析において上の例であげたA店では、1000人当たり160個の商品が購入されているということは分かりますが、その160個は80人の顧客が2個ずつ購入して積み上げられたものなのか、はたまた160人の顧客が1個ずつ購入したのかは分かりません。しかし、ID-POSデータを使うと、一人一人の購買を追うことが出来るので、その商品が繰り返し購買されているかどうか確認できます。同じPI値160でもリピートの有無によって販促施策や陳列も変わってくるので、具体的な販促施策を考える段階や施策の効果検証まで考えるとID-POSデータを活用することで、さらに効果をあげることができます。

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経営推進部 マーケティング室 小林祐太
小林祐太
2021年入社。経営推進部マーケティング室所属。
コーポレートサイトのコンテンツ作成を担当。

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