売上効率改善に向けて重点を置くべき指標について

人口減少や節約志向の影響で、小売業では1人当たりの購入点数や頻度、ユニーク客数が減少から、店舗支持率の低下が懸念されています。一方で、購入金額は上昇傾向にあり、改善の余地が見える部分も。
本記事では、最新データをもとにこれら指標の変化を分析し、売上維持に向けた具体策を提案します。課題を見極め、効果的な対策を見つけていきましょう。

 1人当たりの指標とは

図表1

1人当たりの指標について、以下の3つは最も重要な指標と考えています。

①1人当たりの購入点数
②1人当たりの購入金額
③1人当たりの購入回数(頻度)

これらを改善することが、1人当たりの効率改善につながります(③の場合、特定のグループではなく店全体で見る場合は来店回数(頻度)です)。
もし自店においてユニーク客数が減少している場合、これらの指標のいずれかが改善されない限り、売上を維持することは難しいです。
上記の図表①を確認すると、指標を改善することがいかに重要かわかります。図表①の❹~❻の中で、❻の一品の単価の場合、最近のメーカーによる広範な値上げでもない限り、スーパーマーケット(SM)が意図的に操作できる範囲のものではありません(一部のカテゴリーのプライスラインの変更など、狭い範囲での取り組みは除きます)。

したがって、❹と❺に集中して取り組むことがより現実的だと思われます。

 

チェーンストアの指標の現状と傾向

図表2

ここで、当連載のデータベースである複数のチェーンストアの平均値で見た、前述の3つの指標に、ユニーク客数を加えた4つの指標の現状をご紹介します。
図表②をご確認ください。2021年の6月から翌22年の5月までの1年間の実績を100とし、月ごとの推移を表しています。期間は短いですが、最近の傾向が表れていることがわかります。
もちろんチェーンストアごと、特に店舗ごとに見ると、改善の傾向が見られる店舗もありますが、全体を平均すると図表②に示された現状にあります。
この4つの中で、唯一1人当たりの購入金額が右肩上がりですが、他の3つの指標は全体的に右肩下がりの傾向が顕著です。これは現状を象徴的に表していると考えます。

 

ユニーク客数の減少と売上維持の関係

多くの商品の値上げにより商品の単価が上昇したため、1人当たりの購入金額は上昇傾向にあります。
しかしその一方では、節約のために家計支出を抑える傾向が、購入点数や頻度の減少として現れています。

図表②に示されるように、ユニーク客数、1人当たりの購入点数、1人当たりの購入回数(頻度)という3つの指標が右肩下がりの傾向は明らかです。売上が伸びているにしても、店の支持率は下がっていると考えるべきであり、これを警鐘として受け止める必要があります。
さらにユニーク客数が右肩下がりである場合は、より深刻な状況であると示しています。
なぜなら、ユニーク客数は他の3つの指標の基盤となる数値であり、それが維持されていることが前提条件となるからです。
人口減少はその前提を崩してしまうため、ユニーク客数が減少すれば、それを補うために他の3つの指標をより大きく改善する必要が生じることになります。

 

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。
出典:食品商業2024年9月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第41回」

 

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
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こちらの記事は、食品商業9月号に掲載されています。 ※外部サイト(Fujisan.co.jp)に遷移します。
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