3分で読める! 「トライアルリピート分析」について

新商品の発売後、小売業者はその商品価値を測る必要があります。

そこで活用されるのがトライアルリピート分析です。
トライアルリピート分析とは、商品を購入したお客様が再びその商品を購入するかを示す分析手法です。
この記事では、トライアルリピート分析の重要性や活用事例をご紹介させていただきます。

 

トライアルリピート分析とは?

トライアルリピート分析とは、商品を購入した顧客が同一商品を再購入する割合を示す分析手法です。

リピート率という指標を用いて、商品やサービスの顧客満足度やロイヤルティを評価することができます。

リピート率は次の式で算出されます。

リピート率=商品を2回以上購入した顧客数÷商品を1回以上購入した顧客数

沢山の人が一度だけ買い物をした場合でも、何度も同じ商品を買う人が多いと、
それは販売促進によってさらに売上を伸ばすチャンスがあります。

しかし、多くの人が一度だけ買い物をしたけれど、二度と同じ商品を買わない人が多い場合は、
その商品やサービスの品質や価値に改善の余地があるということになります。

 

リピート購入の重要性

リピート率は、顧客がどれだけ満足しているかを示す良い指標です。
リピート率が高いということは、顧客が満足していて、その結果として何度も同じ商品やサービスを利用しているということです。
これは、ビジネスが順調に成長している証拠であり、将来の収益予測にも役立ちます。
ここで、「80:20の法則」について少し触れてみましょう。

「80:20の法則」

この法則は、ある事象において、全体の80%の結果は20%の要因によって生み出されるという法則です。

この法則は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見したもので、「パレートの法則」とも呼ばれます。

この法則は様々な分野に応用できますが、特にビジネスにおいては、売上の80%は顧客の20%が生み出しているということや、

仕事の成果の80%は費やした時間の20%が生み出しているということなどが知られています。

この法則を使うと、経営資源をどう最適に配分するかのヒントが得られます。

例えば、何度も同じ商品やサービスを利用する顧客が全体の20%だとすると、

その顧客に優先的に商品やサービスを提供することで、全体の売上や利益を増やすことができます。

逆に、一度しか利用しない顧客が全体の80%だとすると、

その顧客に過度な商品やサービスを提供することでコスト効率が悪くなります。

そのため、一度しか利用しない顧客に対しては、必要最低限の商品やサービスを提供することで、コストを削減することができます。

 

リピート率とは?

リピート率とは、特定の商品やサービスを何度も利用した顧客の割合を示す指標です。

具体的には、リピート率は一度でも商品を買ったことがある全ての顧客の中から、何度も同じ商品を買った顧客の割合を示します。

リピート率が高いということは、一度でも商品を買った顧客の中から多くの人が何度も同じ商品を買っているということで、

これはさらに売上を増やすチャンスがあることを示しています。

逆に、一度でも商品を買った顧客が多いけれど、何度も同じ商品を買う人が少ない場合は、その商品やサービスに改善の余地がある可能性があります。

リピート率は新規顧客と既存顧客の関係を示す指標であり、新規顧客が2回目以降も同じ商品を買うことでリピート率が上がります。

この指標は売上に直結し、企業が顧客維持と再購入を重視する際に非常に重要な役割を果たします。

したがって、リピート率を上げることはビジネス戦略の一部として大きな価値があります。

 

トライアルリピート分析で出来ること

①商品の評価と品質向上

トライアルリピート分析では、「トライアル率」(商品を試してみた顧客の割合)と「リピート率」(再購入した顧客の割合)を評価します。

これらの率が高ければ、商品は高品質であり、顧客のニーズに応えていると言えます。逆に低ければ、改善すべき点があると考えられます。

②新商品の定着度の測定

トライアルリピート分析は、新商品の定着度を測るのに適しています。新商品では、トライアル数だけでなく、
試しに購入した顧客が継続的に購入するかどうかも重要です。
高いリピート率は、新商品が市場に受け入れられており、顧客満足度も高いことを意味します。

③支持度の測定

リピート率は、商品やサービスの支持度を測定する指標です。

リピート率は、商品やサービスを2回以上購入したユーザー数を、1回以上購入したユーザー数で割ったものです。

リピート率が高いと、販促活動で売上をさらに伸ばす可能性があります。逆に低いと、改善が必要だと判断できます。

④ID-POS分析の一部として活用

トライアルリピート分析は、ID-POS分析の一つの手法です。

商品を購入した顧客が同じ商品を再購入するリピート率を算出し、新商品の定着度を評価します。

 

トライアルリピート分析で使用される指標

トライアルリピート分析で重要な指標は、「トライアル率」と「リピート率」です。

これらの率が高いと、高品質で顧客のニーズを満たす「売れる商品」であることがわかります。

以下に、トライアルリピート分析で使用される指標とその定義を説明します。

 

トライアル件数

製品やサービスを初めて利用した顧客の数です。2回目以降の利用有無については関係ありません。

トライアル率

製品やサービスを利用したことがある顧客の割合です。以下の式で計算されます。

トライアル率 = トライアル件数 ÷ 全顧客数

この率が高いほど、製品やサービスに対する興味や関心が高いことがわかります。

リピート件数

製品やサービスを複数回利用した顧客の数です。

リピート回数に応じて、特定の回数以上利用した顧客だけをカウントします。

例えば、リピート回数が「4」の場合、4回以上利用した顧客だけが対象になります。

リピート率

製品やサービスを複数回利用したことがある顧客の割合です。

この率は、製品やサービスに対する満足度や忠誠度を示します。ビジネス戦略において重要な指標です。

全顧客数

購買データから重複を除いたユニークな顧客の数です。

 

トライアルリピート分析の活用事例

トライアルリピート分析の活用事例として、新商品の定着度の測定を取り上げます。

今回はぶどうヨーグルトが10月1日に新発売されたという例で説明していきます。

新商品が発売されたタイミングから2週間、ぶどうヨーグルトのトライアルとリピートの数値を追っていきます。

10月1日から順にリピート数を見ていくと、最初は当然0人ですが2週間後には20人のリピーターを獲得しています。

リピート率を見ても、2週間後には9.78%と右肩上がりにリピーターを増やしていることが分かります。

同様にトライアル数では、発売2日目に最多の116人がトライアルし、2週間後には43人に落ち着いているものの安定してトライアルユーザーも獲得しています。

実際にこの数値が高いのかどうかについては、同カテゴリーの商品と比較することでより具体的に見えてきますが、この商品についてはひとまず定着に向かっていると言えそうです。

このように新商品の発売から1日ずつ、次は1週ずつと定点観測していくことで、

新商品が繰り返し買われているのか、新規ユーザーを獲得できているのかを確認することが出来ます。

ぶどうヨーグルト4連パック 発売開始から2週間のTR推移

トライアルリピート分析が出来る「Customer Journal」

小売業界を取り巻く環境は、日々変化を続けています。この変化に対応するためには、
顧客の購買行動やライフスタイルを把握し、ニーズに合った売場づくりをすることが必要不可欠となります。
顧客分析「Customer Journal」は顧客軸、商品軸、商圏軸の3つの視点から、顧客や環境の変化を分析し、売上の向上に貢献します。

 

執筆者紹介

営業部 森田修平
学習院大学生命科学科卒 
大学時代は硬式野球部に所属。
発生遺伝学を専攻。
2023年新卒入社し営業部所属。