3分で読める!「ABC分析」について

小売業界では、在庫管理が常に課題となります。商品を適切にストックし、在庫コストを最小限に抑えることは、多くの小売業者にとって難しい課題です。しかし、ABC分析という分析手法を使うことで、この課題解決の手助けができます。

本記事では、ABC分析を用いて在庫管理を最適化し、売上と利益を向上させる方法について詳しく説明します。ABC分析がどのような問題に対して効果をもたらすのか、また在庫管理における新たな可能性や、業務の効率性を高める方法を知りたい方は、ぜひこの記事を読んでみてください。

ABC分析とは?

ABC分析は、アイテムを重要度に応じて分類し、優先順位をつけるための分析手法です。

アイテムはA、B、Cの3つのクラスに分類され、Aクラスが最も重要であり、Bクラスが中程度、Cクラスが最も低いとされています。重要度は、売上高や利益、在庫コストなどに基づいて評価されます。

ABC分析はリソースを最適に活用するために用いられ、Aクラスには重点を置き、Bクラスは中程度、Cクラスは最小限のリソースを使用することが推奨されます。

ABC分析においては、定期的な情報の更新が必要であり、正確なデータの入れ込みと適切な評価基準の設定が欠かせません。

 

ABC分析の歴史的背景

ABC分析は、アメリカのH・F・ディッキーが1950年代に提案したものです。

従来の在庫管理の効率化のために生まれたもので、アイテムの在庫管理や資源割り当て、調達戦略を最適化する方法を模索する必要があったときに開発されました。

元々はアメリカの海軍が部品の管理に使用したことから始まり、在庫アイテムを3つのクラスに分類し、重要性に応じて管理アプローチを決定する方法を発表しました。

ABC分析は、イタリアの経済学者ビルフレド・パレートによって提唱された「パレートの法則」に基づいています。

これは小売業界だけでなく、多くのビジネス領域に適用され、アイテムの重要性に基づいてリソースを最適化する方法として、多くの企業で採用されています。

ABC分析は、ビジネスの効率性を向上させ、コスト削減やリスク軽減に寄与する優れた分析手法として広く受け入れられており、経営戦略の重要な要素となっています。

ABC分析の実施ステップ

ABC分析を実施する際のステップは以下の通りです。

通常のステップ:
①データ収集
商品の名称、数量、価格、売上データ、利益率、在庫量、調達コストなどのデータを収集
します。
②アイテムの分類
収集したデータを使用して商品をA、B、Cの3つのクラスに分類し、各クラス内の商品の
重要性を売上貢献度、利益率、在庫コスト、季節性などの指標を用いて位置づけを行います。
③戦略の策定
各クラスに適切な管理戦略を策定します。Aクラスは売れ筋商品であるため、品切れを起こすことの無いように在庫を十分に確保し、Bクラスは在庫管理を通常通りに行い、Cクラスは在庫を最小限に抑えます。
④効果検証
上記にて策定した戦略を実行したことで得られた、売上、在庫レベル、利益率、顧客満足度などの指標を収集し、戦略の適切性を確認した上で、必要に応じて調整を行います。
これにより、商品管理と在庫管理が最適化され、売上と利益が最大化されます。

通常フローであれば、ABC分析1つを行うにしても、このようにかなりの工数が発生しているのです。

ABC分析と在庫最適化の関係

ABC分析と在庫最適化は、在庫管理において密接に関連しており、効果的なリソース配分とコスト削減を実現するために活用されます。以下に、ABC分析と在庫最適化の関係について説明します。

■Aクラスの商品:
Aクラスに属する商品は最も重要であり、売上や利益に大きな影響を与えます。したがって、これらのアイテムの在庫はしっかりと用意しておく必要があります。

在庫最適化の観点からは、Aクラスのアイテムには十分な在庫を確保し、在庫切れを防ぐことで、顧客サービスを高めることができるのです。

■Bクラスのアイテム:
Bクラスのアイテムは中程度の重要性を持ちます。

在庫最適化の観点からは、Bクラスのアイテムの在庫管理を適切に行い、在庫コストを最小限に抑えながら、需要を満たすことが目標です。在庫を抱えておける場所も店舗ごとに限られているので、Bクラスの過剰在庫を避けることで、効率性が高まります。

■Cクラスのアイテム:
Cクラスのアイテムは重要性が低く、在庫を抱えることによるコストを増やすことなく最小限の在庫で管理していることが多いです。

在庫最適化の観点からは、Cクラスのアイテムは需要が発生した場合にのみ注文し、在庫レベルを最小限に抑えることが重要です。

ABC分析を活用することで在庫アイテムを優先順位付けし、各クラスごとに最適な在庫管理戦略を適用することが可能になります。これにより在庫最適化を実現し、コスト削減やサービス品質の向上を実現できます。

ABC分析の活用事例

各商品の売上状況の把握や商品改廃の分析事例として、加工食品(カレー)の単品販売金額のABCを例として挙げました。

出力した表によると、42商品のうち全体の2割にあたる8商品までの販売金額の累積構成比は55%となっています。

パレートの法則によれば、売上の8割は2割の商品数に依存するため、一例として上位8商品の販売金額の累積構成比を80%にする際には、陳列棚のフェイスを広くしたり、在庫を十分に確保することで品切れを起こさないようにする必要があると言われています。

またCランク商品については、他の商品との関連を考慮しながら商品種類の入れ替えを検討し、在庫が余ることのないように見切り売りのタイミングも考慮する必要があります。

このように、ABC分析を活用することで重点的に管理すべき品群・商品を明確にし、売場効率を最大化するための品揃えを検討することができます。

ABC分析事例

ABC分析ができるd3

商品分析システムd3では、単品分析・ベスト分析・ABC分析など、小売業の現場で使える多彩な分析機能を提供しています。現場の声を反映した画面とシンプルな操作性を実現し、
全店レベルで使えるパフォーマンスで”データを見る”文化を実現させます。

 

執筆者紹介

営業企画室 栄利康太
山形大学人文社会科学部卒 2023年に新卒入社。
大学時代は会計学を専攻。
現在は営業企画室で商品企画と営業支援を担当

栄利から一言
データ分析を活用して、小売業の発展に貢献するために頑張ります!