顧客満足度を高める!惣菜需要の増加と生鮮品売場の見直し戦略

生鮮品の売場を素通りする顧客が多いと感じたことはありませんか?この問題を放置していると、売上の低迷や顧客離れが加速するリスクがあります。今回は、高齢層における惣菜の需要増加や、特定の売場を素通りする傾向に焦点を当て、既存顧客の購買範囲を広げるための具体的な施策をご紹介します。顧客満足度の向上と新規顧客の獲得を実現し、売上アップに繋げていきましょう。

年代別購買傾向:高齢層で増加する惣菜の需要

図表⑦は、年代別に見た1部門のみ購買者の購買部門の内訳です。どの年代においても、割合が最も高い部門は加工食品であることが示されていますが、高齢層ほどその割合が下がり、逆に惣菜の割合が増加していることが分かります。手間がかからず、すぐに食べられる惣菜の比重が高まるのは、とりわけ高齢層の場合、理解できることかもしれません。加えて、割合は低いものの、水産や果実部門も高齢層ほど高くなる傾向が見られます。

図表⑦  HU(ヘビーユーザー)別・年代別の1人当たり購買品目数

生鮮品の低支持率:既存顧客の素通りが問題

しかし、そのような水産や果実を含めても、生鮮品の割合はいずれも著しく低いです。この実態を見る限り、図表⑤に示されたような購買部門数が少ない顧客の割合が多いままでは、生鮮部門の支持が上がらないことになります。

図表⑤ カテゴリースコアの計算ロジック

図表⑥ 年代別・部門数(全7部門)別購買者の割合

以上のような図表⑥と⑦が示す事実が意味することは、既存顧客の大半が素通りしている売場があまりに多いということに尽きるのではないでしょうか。新規顧客の集客に知恵を絞るのではなく、今来店している顧客が素通りしていた売場に足を止め、そこで商品を買い物かごに入れることを促すために、売場で何を成すべきか、そこに知恵を絞ることが最優先事項だと、この事実が示唆しているのです。
その改善の証は、既存顧客の1人当たりの指標(1人当たり買上金額、点数、購買頻度・回数)の改善にあります。これらの指標については、今回は詳しく触れませんが、既存顧客の購買範囲が拡大しているかどうかをチェックするためのカテゴリースコアと併せて、顧客満足度を測るツールとなります。既存顧客の顧客満足度が上がれば、おのずと新規顧客の増加にもつながると考えるべきでしょう。今回のデータコラムにも記載しているように、今まであまり注目されていなかった「足元を掘る」行為が、何よりも重要な時代になったのです。

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。

出典:食品商業2024年6月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第38回」

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業6月号に掲載されています。
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