店舗売上を市場成長に連動させるには


禍で内食需要が増え、惣菜や冷凍食品の売上が急増しています。
しかし、皆さんの店舗では売上が期待通りに伸びていないと感じていませんか?
市場の成長に伴って売上を伸ばすには家計調査データを活用することが有用です。
成長カテゴリーを見極め、取りこぼしを防ぐ戦略についてご紹介します。

食品カテゴリーの成長と市場動向

図表Vは、惣菜の米飯類、麺類にあたる、家計調査の項目「主食的調理食品」です。

※ 家計支出額について、1991年から33年間の時系列データ(2人以上世帯)を使用しています。

図表V 主食的調理食品(惣菜米飯類、麺類など)

コロナ禍による内食需要の増加に加え、主食ということから、元々伸びていたカテゴリーがさらに右肩上がりになっています。ちなみに冷凍食品で米飯等の主食となる商品は、「他の主食的調理食品」に含まれています。こちらも急傾斜の右肩上がりになっています。また、「主食的調理食品」を除く惣菜を表す「他の調理食品」も、傾斜は少し緩やかになるものの、典型的な右肩上がりのパターンは変わりません。

図表W 他の主食的調理食品(冷凍食品、白飯、かゆなどのレトルト類、中華まんやお好み焼きなど)

図表X 他の調理食品(主食除く惣菜類)

『日経MJ』のバイヤーの見通しでは、惣菜・弁当の売上は冷凍食品に次いで2位で、冷凍と惣菜の今の勢いは今年も続きそうです。また、その他に簡便、手間いらずの代表であるレトルト食品やチルド食品は、「他の調理食品のその他」の項目に含まれており、先ほどと同様に、右肩上がりが顕著なパターンとなっています。

図表Y 他の調理食品とその他(レトルト食品、チルド食品など卵)

家計支出と店舗の売上の関係性

全4回に渡り、家計調査から見えた、コロナ禍前後に視点を置いた食品の動きについてご紹介しました。

このような全体の動きと、自店の動きがどうなっているのかを比較することで、課題となるカテゴリーについて整理することができます。

最後に、次の2つのケースについて解説します。1つは家計支出が縮小している中、自社、自店の現状もそれと同様に縮小傾向にある場合。もう一つは、家計支出額は伸びているのに、自社、自店の現状が縮小傾向にある場合です。前者は市場が縮小トレンドと見ることもできるため、売上を伸ばす難易度は高いです。一方で後者は、市場が伸びているため、伸びて当然とも考えられます。

そこで自社、自店が現状維持や縮小傾向にあるとしたら、その要因をつかむことは必須です。家計支出額が伸びている場合は優先して対策するべきでしょう。たとえ売上が伸びていても、世間ではそれ以上に伸びていることもあり得るからです。家計調査ほど長期間のデータでなくとも直近数年の実態を、家計支出額の動きと比較することで、世間で成長しているカテゴリーに取りこぼしがないか否かを判断することができます。家計調査の項目は、一般的なSMにおけるカテゴリーのくくりとは一致しない部分もありますが、分類は200項目以上あるため、おおよその実態はつかむことができるといえます。

↓これまでの記事はこちらから

簡便さと手間いらずがカギ!コロナ禍で成長したカテゴリー

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。

出典:食品商業2024年2月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第34回」

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業5月号に掲載されています。
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