たまごっちに学ぶ!リバイバルブームとコラボマーケティングが生む新たな価値

 

1996年に誕生した「たまごっち」が、再び注目を集めています。特にZ世代を中心に広がるY2Kブームの影響で、90年代後半のアイコン的存在であった「たまごっち」がリバイバルしています。このトレンドは単なる懐古主義にとどまらず、最新技術やマーケティング戦略と組み合わせることで、新たな価値を生み出しています。

たまごっちのリバイバル成功要因

1. ノスタルジーマーケティングの活用

2024年には、初代「たまごっち」および「新種発見!! たまごっち」の欧米版である「Original Tamagotchi gen1/gen2」の新デザインが発売。
さらに2025年には「Original Tamagotchi gen3」となる「てんしっちのたまごっち」も市場投入されました。過去のヒット商品を現代風にリデザインし、当時のユーザーと新世代の消費者の両方に訴求。

2. コラボレーションによる話題性の創出

アーティストやブランドとのコラボレーションによって、たまごっちは単なる「育成ゲーム」から、
コレクション性やファッション性を持つライフスタイルアイテムへと進化しています。

例えば、高級子供服で知られるブランド「ナルミヤ」とのコラボでは、
ルミネエスト新宿に出展したPOP UPストアが入場制限がかけられるほどの大盛況を見せました。
昨今のキャラクターグッズの人気や、平成カルチャーブームが後押しし、子供の頃に親しんだたまごっちが、
子供の頃憧れだったナルミヤとのコラボすることで、10代〜30代の心をがっちりと掴んでいます。

また、グローバルアーティスト「XG」のメンバーがデザインした特別仕様モデルや、
「Stray Kids」のオリジナルキャラクター「SKZOO」とのコラボデザインは、
ファンの所有欲を刺激し、「推しとおそろい」を楽しめる要素を持つ上、懐かしさや思い出のあるたまごっちであることから、ファンにとって一層特別感があるアイテムとなりました。

これらのコラボにより、たまごっちは「玩具」ではなく、コレクションやファッションの一部「アイテム」として受け入れられるようになりました。
単なる商品販売にとどまらず、ブランドの世界観と結びつくことで、その価値をさらに高める戦略的な手法としても機能しているのです。

3. テクノロジーの融合による進化

最新の「Tamagotchi Uni」は、2023年の日本おもちゃ大賞コミュニケーショントイ部門で大賞を受賞。スマートウォッチ型のデザインを採用し、世界中のユーザーと交流できる「Tamaverse(たまバース)」機能を搭載しています。

たまバースでは、自分のたまごっち「Uni Tama(ゆにたま)」を公開し、挨拶や、いいね機能を活用して他のユーザーと交流できます。
また、世界中のユーザーのたまごっちとマッチングしたり、ゆにたまと一緒にバーチャルな世界旅行を楽しんだり、カスタマイズしたファッションを世界に向けて発信することも可能です。これにより、たまバースは単なる育成ゲームを超え、ユーザー同士がコミュニケーションしながら個性を表現できるプラットフォームへと進化しています。

 

アメリカのペアレンタルコントロールツール「Qustodio」の2024年のレポートによると、
7歳~15歳のアルファ世代(Gen Alpha)は、SpotifyやYouTube、TikTokを上回るプレイ時間を「Roblox」に費やしていることが判明しました。
アルファ世代は、幼い頃から世界とつながる環境に慣れ親しんでいるため、従来の世代と比べて広い視野を持ち、
ボーダーレスなオンラインコミュニケーションと創造的な遊びを好む傾向があります。
たまごっちのメタバース参入は、こうしたアルファ世代のバーチャルなライフスタイルと親和性が高く、
たまごっちは単なる育成ゲームの枠を超え、ソーシャルな体験を提供するデバイスへと進化しています。

↓Questodio調査結果

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リバイバル市場の成長

Googleトレンドのデータによると、「たまごっちコラボ」の検索数は2022年頃から急増。「Y2K」「平成レトロ」といったトレンドと連動する形で伸長しています。また、PRタイムズにおける「たまごっち」を含むリリース件数は、2021年の3件から2023年には23件、2024年には27件、2025年3月現在で既に26件と急増しており、市場の活性化が明らかです。

↑たまごっちコラボ×平成レトロ

↑Y2K

小売業界への示唆:コラボレーション戦略の応用

たまごっちのリバイバル成功は、小売業界にも応用可能な示唆を与えます。

1. 過去の人気商品を現代のニーズに合わせて再設計

「平成レトロ」ブームに乗ったリバイバル商品展開や、「懐かしさ」をベースに、童心に帰る商品を開発。

【事例】「大人のねるねるねるね」

子供に人気のねるねるねるねが、その味わいや体験が進化したことで
大人にも人気でSNSで話題になっています。

2. 共感されるコラボレーションを展開

ドラッグストア(マツキヨココカラ、PLAZA)とのコラボによるキャンペーンでは、若い世代に人気のコスメ(VTコスメティクス、TILTILなど)との限定コラボデザインパッケージを販売し、10-30代女性をターゲット層の中心として訴求しています。

また、会員アプリを活用した抽選や会員限定のキャンペーン、オリジナルデザイングッズの限定販売等を行うことで、会員アプリのダウンロード数や顧客のロイヤリティをあげる効果があります。

3. デジタル技術を活用し、新しいユーザー体験を提供

オンラインコミュニティを活用したファンエンゲージメントの強化。

さらに、メタバース空間自体が顧客体験を生み出す場として機能することができます。

たまごっちのリバイバルは、Y2Kブーム、推しコンテンツ、自己実現の多様化、コレクションブーム、手頃な価格といった条件が噛み合ってトレンド化したと考えられます。

今回のトレンドは新たな市場価値を創出するビジネスモデルを示唆しており、似たような層をターゲットに、「サン宝石」「うさはな」「初代プリキュア」などのリバイバル商品化が盛んになっています。今後、他のリバイバル商品やコラボマーケティングがどのように進化するか、注目していきたいところです。