今日から始めるデータ分析ー「利益創出」「商品戦略」「人材育成」の3つの観点ー
リモートワークが急速に広がる中、小売業・飲食業においてもデータ活用の重要性が高まっています。売上データや顧客データを分析し、利益創出や商品戦略、人材育成に活かすことで、ビジネスの成長と持続可能性を高めることができます。今回は、小売業・飲食業におけるデータ活用の具体的な方法と事例について、カスタマーサクセス室の能藤よりご紹介します。
小売業・飲食店が抱える課題
まずは、DX化をどう促進していくか、様々なデータをデジタル化し一つに集約すること。個店個店で立地条件が異なるので、一店舗毎に最適化していかに利益を創出していくか。多店舗になると抱える人材が多くなるので、どうやって従業員の教育や理解を得ていくかが主な課題だと思います。
これらの課題や社会情勢の変化に対応するためにデータを見ていく必要があります。
利益創出におけるデータ活用
利益創出という点では、経営を安定化させるために黒字を作っていくことが大前提になります。そのためには、まず様々なデータをひとつに集めることから始めますが、そこでデータを確認して終わりではなく、しっかりと原因を追究・分析できるような体制をつくるべきだと考えています。
具体的には、売上データと、自分たちの店舗運営に関わる経費データの2つを照らし合わせることが重要です。損益分岐点を下回るような場合には、売上を積み増すか、コストを削減するかの対策を検討する必要があります。
しかし、社会情勢が変化し続ける中で、従業員の業務を減らしたり人数を減らしたりといった対策だけでは乗り越えられなくなってきています。この問題を解決するためには、売上データと経費データをドリルダウンし、原因をより掘り下げて分析することが求められます。
例えば、人件費については、曜日や時間帯によってお客様の入りや働く人の数が変わってくるため、必要な人材をピーク時に配置したり、土日に備えて金曜日に入念に準備したりと、メリハリをつけることで、コストを過剰に膨らませずに売上を維持・向上させることができます。
利益創出の方法の例として次のものがあります。
粗利分析
粗利の算出で精緻な値を出すことが難しい場合もありますが、経営判断をする指標としてライトに積んでおくことは大事です。データをみながら、粗利の取れる商品をしっかり売っていくことで利益を積み増すことができます。
顧客収益分析
顧客1人1人の売上を分析します。IDが無い場合にはレシート単位での分析が有効です。来店顧客の実績から、自店の顧客像を作り上げ、顧客満足度を上げながら収益性の改善も図っていきます。顧客ひとりひとりの店舗体験を向上させながら、いかに収益性を上げていけるかという観点で見る必要があります。
販促効果分析
販促施策はIDがないと効果分析しづらいと思われがちですが、住んでいる人数に対して来店期待値がどれだけ高そうかなど、エリアを理解することは重要です。闇雲にエリア戦略を立てるのではなく、アンケートなどを活用して最適な販促戦略をとっていく必要があります。
商品戦略におけるデータ活用
商品戦略の面でデータ活用を考えると、まずは商品のリードタイムをいかに短縮していくかということです。短縮して空いた時間で、付加価値を創出することが重要になります。例えば飲食店の場合、過去の売上データを曜日・時間帯別に分析することで、どのタイミングで在庫を補充し、料理の仕込みを準備すべきかがわかります。
また、オフィス街と住宅街では来店ピークの時間帯が異なるため、立地に合わせて最適化が必要です。このように、データを活用しながらリードタイムを短縮していくことで、業務の配分を変え、付加価値を創出する時間を捻出することができます。
もう一つ重要なのは、商品アイテム数の適正化です。店舗運営を続けるうちに新商品が増えていき、アイテム数が過剰になりがちです。人間は増やすことより減らすことに心理的抵抗があるため、売れ筋商品に注力し、不振商品は思い切ってカットするなど、メリハリのある品揃えを実現するためにデータ分析が役立ちます。
人材育成におけるデータ活用
人材育成の観点からデータ活用を考えると、「サービスプロフィットチェーン」という概念が重要になります。これは、従業員満足度が高いと顧客満足度が上がり、それが業績向上につながるという考え方です。従業員満足度が高いと、生産性や積極性が上がり、顧客へのサービス品質が向上します。満足度の高いお客様はリピート率が上がり、収益性が改善します。創出した利益を従業員の福利厚生に還元することで、従業員のモチベーションが高まるサイクルが生まれます。
これもサイクルを回していく中で、どれだけデータを活用できるかというのが重要になってきます。
事業戦略の中で、各業務にデータを活用することは多くの企業で行われていますが、部門間で情報が分断されがちです。データの価値を理解し、手間をかけずに活用できるようにすることが重要です。
例えば、先週のトップ販売商品がわかれば、従業員はお客様におすすめ商品を提案しやすくなります。在庫切れに気づいた場合は、通常の補充時間を待たずに陳列を整えるなど、データを意識した行動が生まれます。このように、従業員一人一人の行動にデータを組み込むことで、業務の回転率を上げることができるでしょう。
まとめ
本日は、小売業・飲食業におけるデータ活用について、利益創出、商品戦略、人材育成の3つの観点からお話ししました。
利益創出では、売上データと経費データを照らし合わせ、原因を追究することが重要です。商品戦略では、リードタイムの短縮や商品アイテム数の適正化、販促効果の分析などにデータを活用できます。
人材育成では、「サービスプロフィットチェーン」の概念を理解し、従業員満足度、顧客満足度、業績の相関関係を意識することが大切です。従業員のデータリテラシーを向上させ、データ活用を組織文化として根付かせることで、持続的な人材育成と業績向上が実現できるでしょう。
データ活用は、小売業・飲食業の様々な場面で効果を発揮します。
自社の課題解決にもデータを役立てていただけると幸いです。
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