CRMで進化する小売業の販促戦略セミナーレポート 「データ分析のあるべき姿とCRM」
データを活用したCRMを実践することで、顧客との関係性を深め、ビジネスの成長を加速させることができます。本セッションでは、優良顧客の発見から販促施策の効果検証まで、CRM戦略における3つのステップついてデータコムの小林よりお話しました。
CRMの3ステップ
CRM戦略を進める上での3ステップは次の通りです。まず最初に行うのが、優良顧客の発見。続いて、優良顧客の育成による顧客の定着。最後に優良顧客との共創というステップになります。そして、これらのCRM戦略の大前提として、「誰に」「何を」「どう」届けるかを考える必要があります。つまり、画一的な販促で全員にばら撒くのではなく、それぞれの顧客に合った情報を最適な方法で届けることが重要です。
優良顧客と好むカテゴリ―の発見
まずはステップ1の「優良顧客の発見」です。自店にはどのような顧客が来店していて、メインとなる客層はどこなのか、どのような購買行動をとっているのか確認します。
今回は、A店のデータを見ていきます。まずは自店のメインとなる顧客層の確認です。A店で全年代の買上金額や来店回数を見たところ、50代、60代の顧客が全体平均の数値を大きく上回っていることが分かりました。この数値からA店では50代、60代の顧客がメインの客層であると言えます。
次に、50、60代の顧客がどのような商品を購買しているのか確認します。今回は例として青果部門の数値を確認します。輸入果実と国産果実を見ると、全体平均と比較して50、60代の来店回数(購入回数)や買上金額が増加する傾向がありました。一般的にも年代が上がるにつれて、果実の買上金額が増加する傾向はあると思います。
さらに、販促をかけるポイントを探っていくために、果実ごとの1人当たりの買上金額を年代別に確認してみます。
このグラフを見ると、50、60代が好んで購買しているのは梨やバナナであることが分かります。反対に若年層ではレモンやすいかがよく買われています。このように果実は年代ごとに好みやトレンドの違いが出るので、顧客に合わせた情報提供が重要になります。
また、旬の商品を的確に訴求していくことも重要です。顧客の好む商品について、売り始めと売り終わりの時期を伝えることで、買い逃しを防ぎ顧客の満足度を高められます。
このように、顧客の購買行動をしっかり分析し、そこから得られる示唆を販促施策に活かしていくことが、CRM戦略の第一歩となります。
顧客に情報を届ける販促手法
ステップ2では、優良顧客に向けた情報提供や販促施策について説明します。顧客への情報発信では、大勢の方に同じ情報を届けるのではなく、セグメントを切り、お客様によって出し分けるということが重要になってきます。ここからは具体的な販促の手法として顧客心理を反映した施策をご紹介します。
1つ目は、購入総額に応じた還元施策です。こちらは顧客の購買意欲を高める効果があります。例えば●●円以上のお買い上げで、ポイントの還元や商品券がもらえるような施策です。顧客の心理としては、ついつい1、2品買い足してしまったり来店回数が増えたり「損失回避性」という心理が働きます。
2つ目は、同ブランド商品の併売促進です。同ブランドの併売は意外と認知されていないことが多いので、メーカーと協力して併売促進をすることが考えられます。例えば、ブランドAの洗剤と柔軟剤の同時購買でポイント還元するという施策を行うと、顧客もブランドAの商品を探して併売が起きるということがあります。特にこういったポイント還元だったりサンプリングは、顧客の観点では、自分のためにやってくれてるという印象だったり、そのブランドへの信頼感も醸成されやすいので、「返報性」を生かした販促施策も効果的です。
3つ目は、選択肢の提示による購買の支援です。売場の中で少なくなっている商品は安心して買いやすいということがあります。そういった商品を好む人もいれば、逆に自分に合うものを買いたい人もいます。それぞれの買い方に合わせて、好きなものを買い続ける人には今使っている商品の販促を、新しい商品を求めている人には新商品の情報を出し分けることが重要です。そうすることで販促コストの削減や顧客の満足度上昇につながります。
優良顧客との共創とデータ活用
ステップ3では優良顧客との共創について説明します。顧客との共創というと、お客様アンケートをやったり、お客様重役会を開いたり、意見箱を設置したりと、人手や時間、お金がかかると思われがちです。
しかし、実は手元のIDPOSデータを見ていただくと、お客様の声を反映することは可能です。例えば、Sランクの顧客がよく購入している商品は、来店している顧客が欲しているものだと考えられます。そういった商品の購買を他の顧客にも促すことで、ランクを引き上げる助けにもなります。これもひとつの販促施策として考えられます。
最後に
これらのCRMのステップを踏み、販促施策をかけた後には効果検証まで行う必要があります。例えば、新規顧客獲得のための施策であれば、会員数が伸びたかどうか。ある商品の販促であればその商品の売数が増加したか。アプリの販促であれば、クーポンの利用状況や、広告の反応率を確認することで、販促の効果を見ることができるようになります。
CRMの3ステップで優良顧客の声を反映し、販促に生かしていく。そしてまた分析するというサイクルを回していくことが、うまくCRM戦略を回すための秘訣です。
カスタマーサクセス室のご紹介
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