スーパーマーケットの収益を左右するユニーク顧客の購買行動とは?

顧客単価をあげるのに効果的なことはなんでしょうか?特にユニーク顧客のシェア拡大は、売上向上の重要なポイントですが、その効果を測る指標を把握していますか?
今回は、1人あたりの買上金額が増加する具体的な方法を、実際のデータに基づいて解説します。調査結果をもとに、高齢層の購買傾向や、各カテゴリーへの購買の広がりが、いかに売上に影響を与えるかを詳しくご紹介します。

ユニーク顧客の購買範囲の拡大が示す重要な指標

ユニーク顧客のシェアが拡大し、1人あたりの買上金額が増えたことを示す指標は何でしょうか。
それは、ユニーク顧客が購買するカテゴリーの購買範囲が広がったことを示す指標です。主に購買カテゴリーが増えることで1人当たりの売上、点数、回数(頻度)が増えていきます。その指標としてカテゴリースコアに注目します(注❷、図表⑤)。
ここではまずカテゴリーの購買範囲の実態を明らかにしていきます。

図表⑤ カテゴリースコアの計算ロジック

※注❷ 特定部門やカテゴリーの購買の有無を、対象とする全顧客ごとに調査。例えば当連載の事例では、7部門すべてに購買があれば100点(7÷7×100)、6部門の場合86点(6÷7×100)というように顧客ごとのスコアを計算し、その全集計値を対象顧客数で割って総スコアとする。全顧客すべてが7部門購買しているとしたら、スコア最高値。購買部門数が少ない顧客が増えれば増えるほどスコアは低くなることから、購買範囲が増えているか否かの指標として活用できる。詳しい計算ロジックは図表⑤。

意外なカテゴリーカバー率

スーパーマーケットの最も大きなくくりである7部門(野菜、果物、畜産、水産、惣菜、日配、加工食品)を購買範囲とした場合に、7部門のそれぞれに、少なくとも年1回以上の購買がある人は、どのくらいの割合を占めているのでしょうか。7~8割くらいか、あるいは半分程度の割合か。そう問い掛けられたとしたら、7部門ごとにわずか年1回の購買条件であることを考えると、少なく見ても5割程度だと推測する人が多いのではないでしょうか。
しかし、この連載で調査しているデータに基づく実態を見る限り、図表⑥の平均(最上段)に示されている通り、わずか3割程度の極めて低い値でしかありません。もっと範囲を広げ、5部門以上までの購買者で見て、やっと6割程度という実態は、売り手側の想像とはおよそかけ離れたものではないでしょうか。見方を変えると、年1回すら購買がない部門が複数あるユニーク顧客が、大勢を占めているというのが事実です。

図表⑥ 年代別・部門数(全7部門)別購買者の割合

年代別に見る購買傾向とスーパーマーケットの現実

また年代別に見た場合、7部門すべて購買がある顧客の割合だけが、高齢層ほど目立って高くなる傾向が明らかなため、ここでも高齢層に支えられるスーパーマーケットの構図が浮かび上がってきます。
それでは、1部門しか購買がない人たちは、どの部門の購買が多いのでしょうか。次回はその調査結果をお届けします。

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。

出典:食品商業2024年6月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第38回」

データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
掲載情報
こちらの記事は、食品商業6月号に掲載されています。
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