ユニーク顧客を見極める!年代別データでスーパーマーケットのシェア拡大を目指す
スーパーマーケット業界では、ユニーク顧客の評価が課題となっています。特に、どの年代層が最も価値をもたらすかを見極めるのは難しい問題です。しかし、年代別の支出データを活用して、自店のユニーク顧客のシェアを効果的に拡大する方法を理解することで、適切な客層にリーチし、収益を最大化する手段が見えてきます。
家計調査とユニーク顧客の実態評価
ユニーク顧客の実態を評価する際のベースとなるのは、1世帯当たりの食品に消費される金額(外食の支出額を除く食料の家計支出額)と、ユニーク顧客の1人当たりの買上金額です。しかし家計支出額はどこで支出されたものかを示しているわけではありません。そのため、家計調査に加え、5年ごとに実施されている世帯主年代別購入先調査(総務省統計局の家計構造調査)を活用します。この調査では、購入先別割合に占めるスーパーマーケット(以下SM)の割合が示されており、それをもとに、年代別に家計支出額におけるSMでの支出金額を推測することができます。図表①は、そのSMの割合を年代別にグラフ化したものです。年代が高くなるほどその割合が高くなっていることが示されており、ほとんどのSMの主力客層が40代以上であることから、これと整合する実態と言えるでしょう。
スーパーマーケットのシェアとユニーク顧客の関係
さらに、この割合を年代別家計支出額に乗じることで、図表②に示したように、SMだけの支出金額の推計値が算出できます。
その値が、(競合店が一切ない)SMが確保可能な目安となります。しかし、実際にはその金額を複数の競合店と分け合うことになるため、自社や自店の1人当たり買上金額の割合を計算することで、ユニーク顧客をベースにしたシェアが見えてきます。それを、当連載で使用している複数のチェーンストアの平均値で年代別にグラフ化したものが図表③です。そのシェアはおおよそ2割程度で、どの年代も大差がないことがわかるはずです。
若い世代のユニーク顧客に対する誤解と実際の成長可能性
SMは20代、30代のユニーク顧客数がもともと少ないです。これに加え、図表④をみると、濃い緑色の部分が右の高齢層側に集中しています。
7部門別(縦軸)および年代別(横軸)の1人当たりの買上点数(売上も同様)や購買頻度においても、高齢層がより高いことから、若い年代にもっと伸びしろがあると考えがちです。しかしこのシェアをみてみると、意外にもそうではないことがわかります。若い世代のユニーク顧客は数自体は少ないものの、1人当たりで見た伸びしろは他の世代に比べて大きいわけではないということです。
このような評価は、家計調査や家計構造調査から作成された基準を基に、それと比較することで初めて可能となります。そして、商圏内の人口や世帯数が減少していく時代では、ユニーク顧客のシェアが拡大しているかどうかが、企業や店の存続に大きく関わってくるため、この評価基準は非常に重要です。
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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。
出典:食品商業2024年6月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第38回」
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