生成AIはまだ黎明期?海外でのAIとIoTの活用事例についてVol.1

今回は、海外でのAIやIoTの導入がどれだけ進み、どういった活用をされているのかを解説してもらいました。物流、コミュニケーション、購買チャネルと三つの観点から、海外での活用事例をデータコム株式会社 取締役経営推進部部長の小野寺裕貴が語ります!

そもそもIoTとは?

IoT とは、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノ(センサー機器、駆動装置(アクチュエーター)、住宅・建物、車、家電製品、電子機器など)が、ネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換をする仕組みです。読み方は「アイオーティー」で、「Internet of Things」の略からもわかるように「モノのインターネット」という意味で使われています。

 

海外でも注目の生成AIはまだ黎明期

海外でのAIへの興味関心は、どのくらい進んでいるのでしょうか?

毎年開催される、世界最大級の小売業界向けイベント「ShopTalk2023」のデータからお答えします。

今年はアメリカで3月、スペインで5月に開催され、両イベント共通で次の五つの問いかけがされました。

①最高な顧客エンゲージメントとは一体どんなものか、②ビジネスに成長をもたらす新興チャネルとは、③どのようにして卓越した店舗体験を提供するか、④どの技術に投資することが売上・利益を引き上げるのか、⑤どのような組織変化が勝利につながるか。

その中でも特に④に関しての関心が高く、昨今開発されるさまざまな技術の中で、どこへの投資が最適かを考えているようでした。

また、来場者アンケートでは「どのテーマに最も関心を持ったか?」という問いに対し、67%もの人が「Generative AI:生成AI」や、3次元画像処理システム、高精度のAI質問応答システムを指す「Advanced AI(アドバンストAI)」に興味があると回答しました。

 

そもそも、AIと生成AIの違いは何でしょうか?

従来のAIはカリキュレーション、つまり過去データに基づいた分析や試算を行い、予測や決められた行為の最適化を図ることを目的としています。

一方の生成AIは、コンテンツを生成する意味合いが強いAIのこと。

例えば最近では、「ChatGPT」が話題でしたよね。

ChatGPTは生成AIであり、文章で問いかけると学習したデータをもとに、新しいデータや情報から新たな答えを導き出すものです。

 

先程、技術投資への関心が高いということでしたが、AIへの投資状況はどうなっていますか?

生成AIに関していえば、投資額、案件数ともに増加傾向にあります。

2019年にマイクロソフトが2015年に設立された人工知能を研究する非営利団体である「オープンAI」に10億ドルを投資したことは、記憶に新しいと思います。

それ以降、年々投資は増加しており、22年の投資額は2,645億ドルにも及んでいます。

 

 

AIへの注目度はこれからも伸びそうですね。

ただ、AIに関してはまだまだ黎明期であり、今後どうなるかがまだ見えない状態です。

技術の成熟度や採用度、社会への適用度を示す指標として「ハイプ・サイクル」という考え方があります。

技術ができると、社会に適用し始める黎明期を迎えます。その後“過度な期待”のピーク期を迎え、実際に使ってみたけど効果が薄い、適用度が低いといった感想を抱く幻滅期を迎えます。

それから技術の見直しなどを図り、再度社会への適用を図る啓発期に入り、浸透してやっと生産性の安定期となります。

技術は全てこの流れをたどると考えると、生成AIはまだまだ始まったばかりなのです。

 

AIはどういった領域に浸透しているのでしょう?

技術ごとに浸透領域を区分したのが下の図表です。

ビッグデータを利用したAIは物流、コミュニケーション、購買チャネル全てにおいて活用が進んでいます。例えば、配送ルートの最適化、広告の出し分け、ECでのパーソナライズデータの活用など。

一方で生成AIはまだ浸透しておらず、動画コンテンツの制作や、ECでの商品検索、問い合わせ対応といったところで活用が進んでいる段階です。

 

実際にAIを活用している企業の反応は?

アメリカに限定されますが、ある調査によると「AIチャットボットがカスタマーサービスで有益か」という問いに対し「有用である」が34%、「改善の余地がある」が43%、「時間がかかる」が23%という結果になっています。

また「生成AIのテキスト・アートは良いか」という問いに対し、「良い(かなり良い・少し良い計)」で29%、「良くない(あまり良くない・全く良くない計)」で71%と圧倒的にマイナスな結果が出ています。

これは23年の結果ですが、22年は「良い(同計)」が34%、「良くない(同計)が67%。22年に比べても、マイナス回答が増えている状況です。

このことからアメリカでも、AIはまだ使うべき正しいポイントを測りきれていないということが見えてきています。

 

この記事の続編はこちらから

Amazonは従業員とロボット同数導入!?海外でのAIとIoTの活用事例についてVol.2

 

インタビュイー
取締役 経営推進部部長 小野寺裕貴
慶応義塾大学大学院卒。株式会社みずほ銀行での法人営業、
株式会社インテージでの事業開発・アライアンスを経て、データコムへ入社。
前職時より米国等のリテールトレンドの探求、発信を行っている。
掲載情報
こちらの記事は、販売革新12月号に掲載されています。
※外部サイト(Fujisan.co.jp)に遷移します。本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「販売革新」にて弊社経営推進部の小野寺裕貴が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。 出典:販売革新2023年12月号
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