鍋つゆ購買者に向けた時間帯別の品揃えとは

孤食が増える傾向にある中、鍋の季節にはどのような訴求をすべきなのでしょうか。
ポイントは購買者の年代と商品の容量、そして来店時間にあります。

今回は関連商材となる生鮮3部門を取り上げ、
鍋つゆ購買者への品揃えと品切れさせてはいけない時間帯についてご紹介します。

鍋の季節は夕方の生鮮3品の品切れに要注意

簡便や即食の商品の購買が多いSグループの特性を踏まえると、
孤食に対する鍋関連商材の売り方について考える余地がありそうです。

鍋が恋しくなる季節は、普段加工食品に偏りがちな孤食の人たちに、
野菜、魚、肉の生鮮3品を、より頻繁に手にしてもらうチャンスでもあります。

そのためには生鮮3品でまず徹底させるべきことは、
各サブカテゴリー(小分類)単位に、食べきりサイズの商品を夕方の早い時間から品切れさせないことです。
同じように、朝から来店する高齢者向けに、開店後優先して小容量の商品を品揃えすることも重要です。
何だそんなことかと思うかもしれませんが、胃袋が小さくなることへの対応を本気で考えるなら、そんな基本的なことこそが重要になります。

購買の傾向として有職の割合が下がるシニア(60代以降)の場合、午前中に購買のピークがありますが、50代以下ではピークが夕方になります。
さらに単身世帯の増加で、今後その傾向が強まる可能性があります。

鍋つゆの購買に限定すると、LSグループ共に50代以下の夕方以降の割合は他の商品よりも高まっており、
Sグループでは、よりその傾向が顕著になっています。とりわけ30代以下の若い層は、19時が最も高くなります。

 

肉魚の品揃えとメニュー提案で購買を促進

この鍋つゆの購買とほぼ同様の傾向があるのが、鍋・炒め物用カット野菜です。
手間が掛からない鍋なら、一人暮らしでも会社帰りに購買することが多いということでしょう。

そのことを踏まえれば、アルミ容器の個食鍋とは別に、
自分で好みの具材をチョイス出来る一人鍋に適した肉魚の品揃え自体を、もっと増やしてもいいはずではないでしょうか。

実に多くの一人鍋の簡単メニューがネットで検索されることからも、
メニュー提案をして売り込めば需要を取り込める可能性は高いはずです。

手間要らずで栄養バランスもいい、一人暮らしの夕食にお勧めの個食鍋、
今年は生鮮3部門の購買点数をより上げることを目的に、その売り込みに力を注いでみてはいかがでしょうか。

適量の考え方は「小は大を兼ねる」

ちなみに、単身世帯の増加や世帯構成人数の減少が進む中、
多くのスーパーの肉魚売り場で、一尾、一切れパックや小量パックが最初に品切れてしまう光景は今もよく見られます。
また、開店直後、中大パックしかない店も意外と多いのではないでしょうか。

食品の場合、一般的なことわざとは真逆の、小が大を兼ねることが基本になります。
この考えは今後の時代の適量を考え直す上で重要な指針になります。
今回は分かりやすい個食用鍋つゆだけを例に挙げましたが、これはどの食品にも通じる話です。

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データアナリスト紹介

清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任

 

こちらの記事は、食品商業11月号に掲載されています。

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。
出典:食品商業2023年11月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第31回」