ナショナルブランド商品との相関関係からみるプライベートブランド商品の魅力


値上げラッシュの中、頻度高く利用する食品において、価格の安定したPB商品は売れ行きが伸びてきています。
今回はそんなPB商品にスポットを当てていきます。
PB商品は比較基準となるNB商品と真逆の購買特性を示すことが多々ありますが、
この記事では、NB商品と並んで比較販売されることによるPB商品の特別なメリットについてご紹介します。

 

年代別支持率の考え方

まず、PB商品の特徴に入る前に今回のベースとなる商品の「年代別支持率」の考え方を説明します。
ここでの年代別支持率は、チェーンストアや店舗の全顧客の年代別割合に対して、
調査する商品を購買している顧客の年代別割合が、高いのか低いのかを表したものです。

店舗で購買がある全顧客の年代別割合は、言い換えると店舗の支持率です。
そのため、どのような商品でも購買者の年代別割合だけで見ると、店舗の利用が多い年代に偏ることは避けられません。

大半の食品スーパーでは、40代から60代の割合が多く、30代未満は顕著に少ない傾向があるため、
ほぼどの商品でも若い世代の割合が小さめになり支持率が低く見えてしまいます。
そんな偏りを避けるため図表①の計算式から、年代別支持率を算出します。

図表② 年代別支持率の計算事例

 

PB商品とNB商品の年代別支持率の傾向

図表②の複数のPB商品とNB商品の年代別支持率を比較してみます。
すると、40代以前ではPB商品、60代以降のシニア層ではNB商品の支持率が上回ることが多くなっています。

その傾向が顕著なペットボトル飲料緑茶、しょう油、焼き海苔、煎りごまの様な商品では、はっきりしたX字型のグラフになります。
そこまで明確でなくとも、サバ水煮やウーロン茶のように、似たような傾向を示す商品が多くを占めています。

このグラフが表しているのは、PB商品にはベンチマークするNB商品と真逆の年代別支持率を示す商品が多いということです。
さらにNB商品と重ならないということは、購買層が異なる部分が大きいということになります。

つまり、PB商品とNB商品がお互いの年代別支持の低い年代を補完し、
全年代に幅広く支持される姉妹商品として機能するということです。

 

PB商品の新たなメリットと価格戦略

よく言われるPB商品のメリットは、NB商品と遜色のない商品力とPB商品の価格優位性に満足する顧客を取り込むことが出来る点です。
さらに自店、自社にしかないようなPB商品であれば、競合店との差別化につながる集客力が期待できます。
そんなPB商品のもうひとつのメリットがX字型グラフに表れていたNB商品との補完性です。

以前、同じ品目をPB商品とNB商品だけでそれぞれ買い揃えた場合、
前者がどれくらいの節約になるのか、具体的に示してPB商品を売り込んでいた企業がありましたが、
値上げラッシュが続く今だけに、PB商品の特性を活かしそれくらいのことをやってもやり過ぎではないのではないでしょうか。

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データアナリスト紹介

清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任

 

こちらの記事は、食品商業10月号に掲載されています。

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本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。
出典:食品商業2023年10月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第30回」