果物販売の売場づくりから考える機会ロスについて
果物は旬や品種がある青果物として、市場の中で大枠では一括りにされています。しかし果物は、野菜で可能な関連販売やクロスマーチャンダイジングがほとんど出来ないということもあり、野菜とは売り場づくりや販売方法が大きく異なる商品です。今回は【200万人の顧客データが語る!果物の販売の難しさ編VOL.1】として果物の販売方法の中でも「売り場作り」に焦点を当てて解説していきます。
果物の月次購買傾向の違い
データコム株式会社の顧客データ分析ソフト「Customer Journal」を使用して200万人の顧客データを果物を購入している全購買者と、特に果物を頻繁に購入しているヘビーユーザーグループで比較分析してみました。
するとバナナやパイン、グレープフルーツのような一年中、売り場で目にする果物については、全購買者とヘビーユーザーグループで、購買者数は圧倒的にヘビーユーザーグループが多いものの、月次の購買変動数は同じ動きをしていました。
しかし季節性が高い「梨」や「桃」、「ぶどう」や「みかん」といった旬の時期が明確な果物の場合、全購買者はヘビーユーザーグループに比べて購買のピークが短期間に集中していました。
果物愛好者(ヘビーユーザーグループ)の購買特性
全購買者の場合、1ヶ月ほどで購買活動のピークが終わってしまう「さくらんぼ」や「西洋梨」も、ヘビーユーザーグループは2ヶ月にわたって購買のピークが続いており、その他「柿」や「いちじく」でも全購買者よりヘビーユーザーグループの方が1ヶ月ほど、ピーク期間が長くなる結果になっていました。
さらに、取り扱う期間が長めのその他柑橘類においても、全購買者で4月に見られる落ち込みが、ヘビーユーザーグループには見られませんでした。
やはり、上記からもヘビーユーザーと言われるだけあって果実の愛好者なので、売り場に並んでいる間は、頻繁かつ長期間にわたって購入する特性が見られています。
また特に極早生、早生と呼ばれる商品では、価格が高くても愛好者が早期から購入する傾向があるため、結果として全購買者に比べて、長期間に渡って購買する頻度が高くなっている事が推測できます。
販売期間の限定される果物の課題
ここまでのデータ分析結果より、旬が明確であり販売期間が限定される果物は、全購買者の動きが短期間で集中し、ヘビーユーザーグループとは違う動きをしているということが分かりました。
これはつまり旬が明確で販売期間が限定される果物ほど、展開初期と販売終了に近付く期間の売り場作りにバラツキがあり、機会ロスを生じる可能性がある事が容易に推測できます。このような結果から、リテール業界において果物販売の売り場作りは改善の余地があるという課題を示唆しているのではないでしょうか?
顧客データ分析ソフト「Customer Journal」とは?
Customer Journalは、顧客の変化を「見える化」できるシステムです。
個店ごと・顧客ごとの購買状況を分析でき、購買金額の変化が分かります。
また、商品の支持年代層やリピート・同時購買といった購買傾向も分かるため、商品の特性を把握することもできます。
会員の住所情報と購買情報を組み合わせ、商圏の購買力の分析なども可能ですので、
顧客分析システムをご検討している方は、下記画像をクリックして詳細をご覧ください!
データアナリスト紹介
清原和明
1981年ダイエー入社。95年西明石店店長、98年九州SM営業本部北福岡ゾーンマネジャー、99年九州SM営業本部エリアマネジャー、2001年営業企画本部FSP推進部長、05年近畿販売本部営業部長に就任。08年消費経済研究所に出向し、常務取締役マーケティング担当就任。その後、ダイエー関東営業本部営業部長を経て、12年データコム分析推進室室長就任
こちらの記事は、食品商業9月号に掲載されています。
本記事は、スーパーマーケット専門情報誌「食品商業」にて弊社分析推進室の清原和明が連載しているものであり、株式会社アール・アイ・シー社の承認の上掲載しています。
出典:食品商業2023年9月号「200万人の顧客データが語る「こうすればもっと売れる!」第29回」
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